『星賀 光のぶらっと食べある記』平成5年”春”


『星賀 光のぶらっと食べある記』 平成5年4月号(第1回)
天童市天童温泉 「水車生そば」さん
 まず手始めに、天童市内はもとより、全国的にも超有名なおそば屋さん「水車生 そば」さんにぶらっと立ち寄ってみた。

 駅からまっすぐ山に向かって歩くこと10分少々。左手に風格をさえも感じさせ る入口の水車に目をやりながら、店内に入ってみる。内装は民芸風の作り、テーブ ルは一本の木を割ったもの。いかにも田舎風。そして店内に「国産蕎麦粉100%」 の張り紙。これは店主の蕎麦に対するかなりのこだわりを感じる。

 そして注文したのは「大盛り蕎麦」と「鳥中華」。なぜ蕎麦屋さんで中華と思う 人もいるだろうが、後にその理由を記すとしよう。

 まず大盛りの蕎麦、昔ながらの黒っぽい蕎麦がのっている。しっかりとした歯応 えはいつも変らない。蕎麦は香りに加えて歯応えも結構大切な要素だと思っている。 また大盛りより多い量が乗った「板そば」もあるが今回は遠慮した。

 そして「鳥中華」。この中華そばは、天童温泉のお客さんが、芸者さんと一緒に 店を訪れた時に、そばの苦手な芸者さんにせがまれて作った中華そばであると聞い たことがあるが、そうだとすると何とも色っぽいラーメンである。

 さて、この鳥中華は隠れたファンの多いメニューと聞くが、そばのタレに極太の 中華麺。そして、鳥肉と揚げ玉がダイナミックにタレの表面に油を浮かしている。 こってりとして、それでいて後味がすっきりとしたラーメンだ。

 ボリューム・味とも、どこにも無い楽しいラーメンを見つけた感じがした。

 次はどこにぶらっと行ってみようか。

『星賀 光のぶらっと食べある記』 平成5年6月号
中国料理 「天宝」さん
 今回は、ラーメンを無性に食べたくてぶらっとある店に立寄った。

 その店は、ヤマザワ天童東店と道路をはさんで向かいのビルの一階にある、中国 料理の「天宝」さん。ここは、開店して5年(8年になっているのでしょう)位だ ったと思うが、小さなテナントの割りには、個人的に結構気に入ってよく食べに来 る店の一つである。

 注文したのは、ちょうど昼時ということで「日替わりランチ」。

 「日替わりランチ」という注文を見て「とんでもない食べ歩きだ」と読むのをや めようとした人の雰囲気を肌で感じながら、「後で損するぞ」と心に思い筆を進め ることにした。

 この「日替わりランチ」は約十種類のラーメン(単品で注文すると600円)か ら日毎に登場するラーメンに半チャーハンが付いて、しかもしかもサラダと漬物と フルーツまで付いて、なんとリーズナブルな650円。ちなみに、本日のラーメン は「マーボーメン」。

 しかし、この値段の安さだけが「天宝」の魅力では無く、本格的中国料理の店と いうことで、当然餃子やシュウマイからフカのヒレの料理まですべて揃っており、 その中に生まれたこのラーメンはチョットよい感じ。

 あっさりスープにやや細めのシコシコ麺。この絶妙な組み合わせは、きっと毎日 食べても飽きさせないだろう。だからこそ、毎日違うラーメンを食べることができ て、更に色々ついてこの値段という日替わりランチは絶対お得なメニューといえる。  通りに面しているわりに、繁華街の中心という訳でもなく、結構目立たない店構 えだが、その店その店に色々な味がある事をしみじみと感じさせられた「食べある 記」だった。

それじゃ、次はどこにぶらっと行ってみようか。




【おことわり】
 現在「天宝」さんは、市役所通り(王将通り)を北に向かった所の、明治乳業の裏の橋の手前に  移転されています。掲載当時の文章内容と異なる場合がございますのでご了承願います、


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