『星賀 光のぶらっと食べある記』平成5年”夏”
『星賀 光のぶらっと食べある記』 平成5年7月号
手打ち蕎麦 多摩屋 さん
- 天童市の真ん中を流れる倉津川のほとり、さつき市や植木市の開催される元警察
署の西に位置する手打ちそばの「多摩屋」さんにぶらっと寄ってみた。
お昼は市役所や農協の人で一杯のこの店は、何といってもゲソの天麩羅が名物。
品書きには「天」の字が目立つ。天童にある店なので丁度良いとも言えるが、もり
天・かけ天やざる天ならいざ知らず、中華そばにも天が付く。
見ただけでは腹一杯にならないので、「もり天」の大盛りを注文する。
ゲソ天は別の皿にネギやワサビと一緒にのってくる。変に気取っていないところ
がイイ。タレはやや甘めで、良くダシがきいている。そばはそうめんのように細く、
またビックリするほど長い。まるで「人生は細く長く」と忙しく暮らすだけが人生
でないことをそばが教えているようだ。
でも、さすがに手打ちだけあって、その歯触りとほのかな香りがとても良く、や
や黒ずんだそばの肌がまた食欲をそそる。こんな時、そばのおいしいこの土地に育
って良かったと感じられる。また、名ばかりの大盛りを出す店もあるが、ここの大
盛りは大満足。しかも、これで650円という値段ははとても良心的。
満腹で、幸せな気持ちになって店を出ると、目に入る東の山の若葉の美しいこと。
何とも、贅沢な所に住んでいるだなと改めて思った。
さあ、次はどこに「ぶらっと」行ってみるか。
『星賀 光のぶらっと食べある記』 平成5年8月号
そば処 広野屋 さん
- 天童駅から南に約1キロ行くと左手に見えるのが今回目標の店「広野屋」さんで
ある。楽しみながら入ってみると壁に下がっているメニューは5種類。焼きそばと中華そばと
各大盛りに煮込み。
しかも店でいる人は皆焼きそばを食べている。私も焼きそばと煮込みを注文する。
「大盛り」焼きそばは今回パスした。その理由は後で書こう。
店内を見回すと「福助」や「招き猫」等懐かしい物が色々と置いてある。ちょっとした
レトロ感覚というところか。
さて、やって来た「焼きそば」。実に量が多く何と高さ約5センチ(ちなみに大
盛り焼きそばは標高約10cm)。回りの人の大盛りの量に圧倒され今回は普通に
なった。
焼きそばには卵焼きの千切り・青のり・紅生姜が見え隠れしている。それにソー
セージも入っている。そのピンクの色が何となく懐かしい。
食べてみると、ソースと油の香りに独特の麺の歯応えが絡まって昔懐かしい焼き
そばがよみがえってくる。しかも、この麺は自家製ということだ(旨い!)。
また、煮込みは醤油のあっさり味で、油っぽい焼きそばと何とも言えないハーモ
ニーを奏でている。
ともかく、全部食べ終わり腹一杯になった。これで420円(大盛りで500円)
はおなかのすいた時の昼食には注目度NO.1であろう。
次はどこへ行ってみようか、今はちょっと腹一杯で考えられない。ウップ。
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