特選日本映画シリーズ第二弾。今回はハードボイルドでお薦めの映画をご紹介します。なかなか、最近の日本映画は、アニメやドラマの延長のような映画ばかりヒットしますが、昔のハードボイルドはいいですよ。(個人的主観ですが・・・)特に、角川映画やチーム奥山のアンダーな映画は最高です。二つとも色々あって今は潜んでいますが、ぜひまた復活して頑張ってもらいたいです。
今後ハードボイルド特集はやっていくつもりです。


「友よ静かに瞑れ」

監督 催洋一  主演 藤竜也 原田芳雄 賠償美津子

さびれゆく町にぶらりと車に乗って男が現れる。このオープニングだけでもしびれます。なにせ、俺は大の北方謙三(原作)のファンですから・・・・。しかも、藤竜也主演。なぜか昔から、北方作品の主人公は、小説を読む上で藤竜也を想定して読んでいました。そして、原田芳雄・・・学生の頃、一時役者になりたいと思っていましたが、その時に一番憧れていたのが原田芳雄でした。もう、最高のキャスティングです。
ハードボイルドでも、そんなに拳銃ドンバチではありません。北方作品は「男の生き方」を教えてくれます。ですから、ラストが最高です。なぜ彼はこのさびれた町にやってきたのか?そして、彼の友は、何を望んでいるのか?そして、友の息子は・・・。
作品的にヒットしたわけではありませんが、自分はいい作品だと思っています。静かなる映画ですが、男の生き方を学びたい方は、ぜひ!!


「キャバレー」

監督 角川春樹 主演 野村宏伸 加賀丈史 三原じゅん子

角川春樹事務所10周年記念作品ですから、なんといって出演者が豪華!あのビッグスターやアイドルがちょいやくで、スクリーンを横切ります。それを探すのも楽しみです。
「レフトアローン、やれるか?」その加賀丈史のセリフと音楽が心にしみます。かっこいいですよ、本当に・・・。漂う雰囲気が最高です。「矢代さん、俺はまだこいつに惚れているんですよ・・・」そう言い残し、最後の加賀が単身襲名式に突っ込むシーンなんか、本当に名シーンだと思います。またレフトアローンという曲がいいんだ!!なんとなく、横浜のアンダーな部分にぴったりマッチしていて・・・。
でも、主演の野村くんがまだまだ子供で、演技も下手で、なんかぶち壊しているような!?その、雰囲気がおぼっちゃま育ちという設定をいかしているともとれるのだが、名優ぞろいの映画で、とてもかわいそうでした。
昔の角川映画のハードボイルドは面白かったですが、今の時代にこういう映画を作ってもヒットしないのでしょうね。残念です。


「海へ see you」

監督 蔵原推繕 主演 高倉健 桜田淳子 小林稔待

この映画、実は自分の親友が、健さんの青年時代の役で出ています。
昔、自分達仲間の四人は、役者をめざしてオーディションを受けていました。自分は理容業を継ぐために、その道を諦めましたが、他の三人は役者の世界にすすみました。そのうちの一人で、丹波哲朗のもとで勉強していた斉藤孝司がいちはやくスクリーンデビューしました。同期の今をときめく渡部篤郎をおしのき、天下の高倉健の青年時代の役をゲットしたのです。
セリフなしの回想シーンだけですが、主人公の健さんが、田舎を飛び出してきたという重要なシーンだけに、何度も雪の中で撮り直しをさせられたそうです。ケンカのシーンで雪まみれになり、NGの連続で、手が動かなくなったそうです。健さんは、やはりスゴイ人で、自分の出番でもないのに「自分と同じ役をやるのですから・・・」と、ずっと火にもあたらず、無名の役者の斉藤を見守ってくれていたそうです。
NG続きの斉藤を励ますべく、斉藤を呼び「自分は英次という役を、こう考えている・・・斉藤君も同じ役を演じるわけだから・・・」そういって、役への思い入れとアドバイスをくれたそうです。くぅぅぅぅ、かっこいいよ健さん!!ずっと、前にそんな話を聞いていたので、健さんのすごさはいつも感じていました。わずか、数秒のワンシーン、しかもセリフなしの回想シーン・・・そこにも健さんの役者としてのこだわりが・・・・ですから、劇場でそのシーンを見たときはジーンと感動しましたよ。本当に!!
映画自体は、スミマセン、そんなに面白くはなかったですが、そんなエピソードを聞いていたので、今回はお薦めします。